山岳事故:東京理科大の3人水死 鉄砲水がテント押し流す

大学生が増水した川に流された日高山系。左端が中ノ岳で写真中央を流れるのが中ノ川。丸印付近が4人がテントを張ったとみられる地点=北海道大樹町で2010年8月18日午後3時36分、本社チャーター機から平田明浩撮影
大学生が増水した川に流された日高山系。左端が中ノ岳で写真中央を流れるのが中ノ川。丸印付近が4人がテントを張ったとみられる地点=北海道大樹町で2010年8月18日午後3時36分、本社チャーター機から平田明浩撮影

 北海道大樹(たいき)町の日高山系で東京理科大ワンダーフォーゲル部4人が沢に流され男性3人が行方不明になった遭難事故で、北海道警は18日、 現場の下流で3人の遺体を発見し、ヘリコプターで収容した。いずれも死因は水死だった。現場の下流では事故後の水位の急上昇が確認されており、道警は雨で 沢が短時間に増水し、鉄砲水が発生したとみて調べている。

 死亡したのは▽千葉県市川市、宮城島久紀さん(20)=3年▽同県柏市、神野博司さん(18)=1年▽埼玉県上尾市、荒木悠児さん(21)=2年。部長の千葉県印西市、小池真紀夫さん(23)=4年=は17日に自力下山し、道警広尾署に届け出た。

 道警によると、4人は15日午後8時半ごろ、日高山系の歴舟(れきふね)川上流の中ノ川の中州でテントを張って寝ていたところ、テントごと濁流に流された。死亡した3人は約380メートル~2キロ下流で見つかり、岩などにぶつかったとみられる傷が多数あったという。

 東京理科大に提出した登山計画書では、4人は9日に入山し、日高山系を縦走し18日に下山予定だった。現場付近では13日にビバークすることに なっていたが、台風など悪天候のため予定より2日程度遅れていたとみられる。大学側は「無理な計画ではなかった」との見解を示している。

 気象庁帯広測候所などによると、大樹町周辺の日高山系では、15日午後8時までの1時間に10ミリの雨が降り、小池さんは道警に「午後8時ごろか ら急に降雨が強くなった」と話している。国土交通省の河川情報システムでは、15日午後8時~16日午前8時の歴舟川の水位が40センチ上昇しており、道 警は川幅の狭い上流地点で雨で急激に水位が上昇し、鉄砲水がテントを押し流したとみている。【金子淳、田中裕之】

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毎日新聞 2010年8月18日 20時58分(最終更新 8月18日 22時51分)