60歳目前の年金対策

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60歳目前から実践できる年金を増やす対策物価上昇より1.4%程度の年金引下げ
先月1月30日、消費者物価指数の公表とともに来年度の年金水準も決定しました。
消費者物価指数2.3%上昇に対して、年金水準は0.9%のアップ。
物価上昇割合よりも1.4%程度の年金水準の引き下げとなりました。
これは「もらいすぎ年金水準の解消分0.5%」と「現役世代の減少と平均余命の伸び率の影響(マクロ経済スライド)による支給調整分0.9%」の影響を受けた結果です。
マクロ経済スライドにより、今後は物価が上昇しても、毎年1%程度は、年金アップに反映されなくなります。
そもそも、この制度は若い世代の年金水準の確保のための必要な措置なのですが、若者はもちろん、もうすぐ年金をもらう世代にとっても大きな不安要素といえるでしょう。
60歳を目前に控えた世代が今からできる年金制度の活用方法を紹介します。
 
付加保険料を支払う(お得度:◎)
対象者:国民年金第1号被保険者など。会社員は選択不可。
方法:国民年金保険料に加え、毎月400円の付加保険料を支払うと、65歳以降、老齢基礎年金に「200円×納付月数」の付加年金が加算されます。2年間年金をもらえば、元がとれます。金額的には大きくありませんが、お得度は◎です。
 
65歳まで国民年金を支払う(お得度◎)
対象者:会社を引退した人、自営業など
方法:国民年金は60歳に達するまで加入義務はありますが、60歳以後、加入義務はありません。しかし、65歳に達するまでは、年金を増やすために 任意で加入できます。国民年金の保険料を支払うことにはなりますが、節税効果も大きく、65歳から10年程度、年金をもらえば元がとれます。平均寿命は男 性が80.21歳、女性が86.61歳ですので、確率的には支払う年金よりも多くもらえる可能性があります。
 
60歳以降も正社員として働く(お得度:長期的○ 短期的▲)
対象者:会社員など
方法:厚生年金は「働く期間」と「給与水準」で決まります。60歳以降も正社員など、厚生年金被保険者として働くと、会社を退職した後の年金額が増加します。長い目で見れば、給与をもらっている分、貯蓄や年金への依存度が低くなり、老後の安心度は高まります。
なお、給与と年金を足した合計額がある一定基準を超えると、今もらえるはずの年金の一部がカットされますので、短期的には損をした気分になるかもしれません。
 
繰下げ支給(お得度:長生き◎ 短命×)
本来、65歳からもらえる老齢基礎年金、老齢厚生年金を「66歳から」「70歳から」のように支給開始を遅らせると、毎回もらう年金を増やすことが できます。例えば1年遅らせる(66歳0か月~)と8.4%の増加、5年遅らせる(70歳0か月~)と42%の増加となります。
支給開始から短期間で亡くなると結果的には損をしたことになりますが、支給開始から12年程度(例:70歳支給開始であれば82歳まで)もらえば元がとれる計算となり、それ以降は繰下げ支給を選択したメリットを存分に受けることができます。
働いて収入を得ている、他の家族が働いている、金融資産があるなど、他の収入・資産があることが前提とはなりますが、長生きに対する不安を軽減する対策としては検討の余地があるでしょう。なお、65歳に達するまで、特別支給の老齢厚生年金をもらっていても選択できます。
 
漠然とした老後不安を放置せず、できることからコツコツと
その他にも、NISA(少額投資非課税口座)の活用、不動産投資など、老後の収入を確保する手段はさまざまですが、どれもメリットもあれば、デメリット・リスクもあります。どのデメリット・リスクを受け入れられるか、という目で選択して、よい方法を選択しましょう。
物価が上昇しても年金が増えにくいマクロ経済スライドは、家計にじわじわと響いてきます。老後に対する漠然とした不安を放置するのではなく、「家計を見直す」「投資する」「働く」「年金制度を上手に活用する」など、できることからコツコツと取り組んでいきましょう。

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