昨年12月に女性宮司が刺殺された富岡八幡宮(深川八幡宮)では、“稼ぎどき”の大晦日の31日を迎えたが、平成30年1月1日を迎える1時間前になっても境内に人影はまばらだった。
女性宮司刺殺事件の影響をうかがわせた。
境内には屋台が建ち並ぶが、思いもかけない不入りぶりに腕を組む関係者の姿も。
例年15万人の初詣客でにぎわうが、影響が不安視されている。
実は怨霊関係の神社って
かなり多いんですよね
ゲームもあるし (^_^;)
東京都江東区の富岡八幡宮(深川八幡宮)で、宮司の富岡長子(ながこ)さん(58、写真)と運転手の男性(33)が、長子さんの弟で元宮司の富岡茂永(しげなが)容疑者(56)と妻の富岡真里子容疑者(49)=ともに犯行後に死亡=に襲われ、長子さんが刺殺された事件。
「死後もたたり続ける」-。
富岡茂永容疑者が事件直前に関係者に宛てて投函(とうかん)した手紙には、約30年にわたる親族間の骨肉の争いの詳細と、恨み言がびっしりと書き記されていた。
地域の繁栄と平和を象徴するはずの神社でなぜ、凄惨(せいさん)な事件は起きたのか。
車の中から引きずり出し…3分間の凶行
「刃物を持った女が暴れている」
7日夜。110番通報した通行人の男性(41)は、日本刀を手に、運転手の男性を追いかける富岡真里子容疑者の姿を目撃した。「走るような感じではなく、堂々と歩いてきた。その後、『お前だけは許してやる』という女性の声が聞こえ、ただ事ではないと思った」
この直前、富岡茂永容疑者とともに神社近くの物陰に潜んでいた富岡真里子容疑者は、車で帰宅した長子さんと運転手を襲撃。
防犯カメラの画像などから、富岡茂永容疑者は、一度は車の中に身を隠した長子さんを引きずり出し、刃渡り約80センチの日本刀で執拗(しつよう)に切りつけたとみられている。
富岡真里子容疑者は車から逃げ出した運転手を100メートルほど追いかけ、別の日本刀で腕などに切りつけた。
その後、2人は富岡長子さんの自宅玄関近くまで移動。
富岡茂永容疑者が富岡真里子容疑者と自分の胸を刺すなどして、「自害」を図ったとみられる。
富岡長子さんが車を降りてからここまで、わずか約3分間の出来事だった。
2800通の手紙…現場近くには“アジト”
現役の宮司が元宮司に殺害されるという前代未聞の事態。
動揺する神社関係者をさらに震え上がらせたのは、事件から2日後の9日朝、富岡茂永容疑者(写真)から届いた手紙だった。
「約30年にわたる富岡家の内紛について、真相をお伝えします」という書き出しで始まる手紙には、神社の運営や相続をめぐる親族間のトラブルの詳細がつづられていた。
消印は8日で、犯行直前に代行業者に依頼して投函したとみられている。
送付先は全国の神社関係者が約1千通、氏子の関係先の飲食店や学校が約1800通に及んだ。
富岡茂永容疑者は平成6年ごろ、体調の優れない父親に代わって宮司代行となり、翌7年に正式に宮司に就任。
ところが、浪費癖や女性問題などにより、13年に退任を迫られた。
再び宮司となった父親は富岡長子さんを後継に指名し、22年12月、富岡長子さんが宮司代行に就任。
神社本庁は富岡長子さんの宮司任命を「不適当」としていたが、八幡宮は今年9月、神社本庁から離脱し、富岡長子さんが正式に宮司に就任した。
富岡茂永容疑者は手紙で、宮司の座を追われたことについて、「クーデターが画策された」などと説明。
18年1月、富岡長子さんに「地獄へ送る」などと書いたはがきを送り、脅迫容疑で逮捕されたことについても、「罠(わな)にはめられた」と主張し、関係者に対して富岡長子さんを神社から追放し、自分の息子を新たな宮司に迎えることなどを要求。
「実行されなかったときは、死後においてもこの世に残り、怨霊となり、たたり続ける」などと関係者を呪うような言葉も残されていた。
さらに、現場近くのマンションの一室から、富岡真里子容疑者が警察や報道関係者に宛てて事件前に書いたとみられる手紙も見つかった。
「積年の恨みから(富岡長子さんを)殺害することにいたしました」「殺害後はその責任をとり、自害する」「1人で自害できない場合には、夫にその幇助(ほうじょ)を依頼している」というもの。
部屋からは、襲撃現場付近を見渡すことができたほか、複数の刃物や双眼鏡も見つかり、警視庁はこの部屋が襲撃計画の“アジト”だったとみている。
後立たない親族間争い…「相手との関わり見直しを」
年末年始の重要時期を控え、神社関係者は空席となった宮司のポストへの対応にも頭を悩ませている。
富岡八幡宮は9日、顧問弁護士を通じて、丸山聡一権宮司が宮司代務者として当面、神社を取り仕切ることを明らかにした。
だが、内情に詳しい神社関係者によると、あくまで今回の人事は“暫定措置”に過ぎないとの見方もあるという。
後継宮司をめぐっては、茂永容疑者の息子や、退職した元権宮司を推す声もあるといい、一筋縄ではいかない様相だ。
事件にまでは至らなくても、富と権力をめぐる対立は、時代や場所を問わず、これまでも繰り返されてきた。
最近では、日本舞踊の最大流派「花柳(はなやぎ)流」で、花柳貴彦氏(42)と四世家元だった花柳寛氏(86)が家元の地位をめぐって対立し、法廷闘争に発展=最高裁で貴彦氏側勝訴=した事例や、「大塚家具」の大塚勝久氏(74)と長女の大塚久美子氏(49、写真)の経営権争いも話題となった。
東大で専攻した心理学を実務に応用している米川耕一弁護士(66)は「家柄や遺産額にかかわらず、金銭や地位が絡む相続では、仲の良かった兄弟や姉妹が突然、険悪になることは珍しくない」と指摘する。
今回のように、相続問題を背景に、親族同士の殺人事件として発展したケースも少なくない。
近年では26年11月、福井県敦賀市で、母親(84)と姉(56)を息子(53)が殺害したほか、28年4月、東京都葛飾区で、寝たきりの兄(61)の自宅に弟(58)が火を付け殺害した事件なども起きている。
米川弁護士は「こうした被害を避けるには、警察の介入や法的措置を取るだけでは不十分だ。
相手との関わり方などを見直し、相手の心理をコントロールして、トラブルを未然に防ぐアプローチが有効な場合が多い」と話している。
富岡八幡宮
江戸時代の寛永4(1627)年に創建された東京都江東区の神社。
創建時から徳川将軍家の保護を受けて発展し、毎年8月の深川八幡祭りは見物客が水を浴びせる「水掛け祭り」として知られる。
江戸三大祭りの一つで、24年8月には天皇・皇后両陛下も見学された。
江戸勧進相撲の発祥の地としても有名で、境内には歴代横綱のしこ名が刻まれた「横綱力士碑」がある。
▼富岡八幡宮のHPより
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