「落合南長崎」や「若松河田」「築地市場」などツボを押さえた渋めの駅。
異様に深い秘密基地感のある駅の場所。
つながっているようでつながっておらず、初めて乗ると「新宿」「新宿西口」「都庁前」あたりでてんやわんやしてしまう感じ。
すべてがなんだか好きである。
そんな大江戸線、先日築地市場に行く際に乗っていて、ふと記者の脳裏に疑問がよぎった。
「このラインカラー、何色なんだ?」。
かつては当たり前に乗っていたので何も感じなかったが、離れてみるといろいろと気になってくる。
大江戸線が出来て 六本木が超便利になった!
深いのでホームに着くまで大変だけどね (^_^;)
あずき色っぽくみえるが、恐らく濃淡の違い(2018年6月、新宿駅で撮影)
まずはじっくりと色を見てみよう。電車が入ってくるところを撮影するのも邪魔になりそうなので、ラインカラーがあしらわれているホームドアや駅名プレートを、柱の陰から怪しく確認してみた。
ホーム上の蛍光灯の明るさや撮影状況にもよるのだが、まあ見たところ赤紫色というところか。
ただし、他の配色に印象が引っ張られてしまう傾向もあるので、見る場所によっては紫に思えたり、ピンクに見えたり、ということはある。
例えば案内板の表示などで京王新線などと並ぶと、どちらも同じ色のような感覚に陥るが、京王はコーポレートカラーである「京王レッド」なので、同じではない。
やや暗めの環境で見ると京王と似ている感がなくもないが(2018年6月、新宿で撮影)
新宿駅の構内に設置されている案内板などでは、地にかなり淡い赤紫(もしくはピンク)が敷かれているため、濃いめのピンク感も出てくる。
ちなみに以下の写真でも京王新線と並んで表示されているが、この距離で見ると両者の色が違うことがわかるのではないだろうか。
地はピンクでラインカラーは赤紫といった趣(2018年6月、新宿で撮影)
都営地下鉄を管轄する東京都交通局のサイト上では、大江戸線のラインカラーの説明はない。
ネット上で見かける情報ではマゼンタとしているものが多く、一部にルビーとしているものもある。
マゼンタがどのような色なのか説明しづらいが、ややピンク寄りの赤紫といったところ。
日本工業規格(JIS)の「色の表示方法」では「明るめの赤紫」となっている。
JISの「色の慣用名」などから逆引きすると、確かにマゼンタかルビーレッドあたりのようで、(JIS上の)赤紫だと少々淡いように思える。
想像はここまでにして、公式には何色ということになっているのか、Jタウンネットは東京都交通局に取材を行った。
「マゼンタです。別の表現では『牡丹色』とすることもあります。東京メトロでルビーという表現を使われているとうかがっていますが、都営地下鉄が行ったことはありません」
明確に色規定などがあるわけではなく、JISなどで示されている一般的なマゼンタが、そのままラインカラーだという。
なぜマゼンタという、直観的には分かりづらい色としたのだろう。
何か深い理由があるのか。
「1970年に当時の営団地下鉄(編注:後の東京メトロ)と都営地下鉄との間でラインカラーについての協議が行われ、当時はまだ計画のみだった大江戸線を『マゼンタライン』とすることが決定した、との資料はあります。しかし、なぜマゼンタとなったのか詳細は残っていません。関係者レベルでどのような色にしたいか、さまざまな思いはあったかと考えられますが、現存する資料からは分からないのが実情です」
ツイッター上などでは、ここ数年導入されている新車両のカラーリングがマゼンタよりも鮮やかで、ラインカラーが変わったのではとの声も見られたが、48年前にマゼンタと決定して以来、ラインカラーはずっとマゼンタのまま。
別の色を使ったり、色調を変えてみたり、といったことは行っていないとのこと。
これは1999~2000年ごろに導入された120-000型(Wikimedia Commonsより, UE-PON2600さん撮影)
「塗装面の材質などによって印象が変わっているかもしれませんが、マゼンタ以外の色は使用していません」
では、ピンク感のある案内表示などはどうだろうか。
ポップでかわいい印象がなくもないが、マゼンタではないような気もする。
初めて見ると「めちゃくちゃ可愛い駅なのでは?」と思う、かもしれない(2018年6月、新宿で撮影)
「ピンクのように見えるかもしれませんが、あくまでもマゼンタをベースに色の濃淡を変えているもので、異なる系統の色は使用していないという認識です。経年劣化による退色で、元のマゼンタよりも淡く見えている案内板などもあるかもしれません」
ピンクラインではなかったのが少し残念だが、プリンターのトナーくらいでしか見かけなかった「マゼンタ」がなんだか身近になった気もする、大江戸線のラインカラー事情だった。