呼び込み君

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スーパーで買い物をしていると、いろいろな店で同じメロディーが聞こえてくる。
そう思ったことはないだろうか。
「ポポーポポポポ、ポポーポポポポ、ポポポポポ~」という、やけに耳に残る曲だ。
記者がいつも行く大型スーパーでは、売り場によって聞こえてくる音楽が違う。
スーパーのオリジナルキャラクターのイメージソングや、ほとんど気にならないようなさりげないBGMが流れている。
そんな中、総菜やデザートの売り場に近づくと、あの音が聞こえてくる。
他のBGMと比べて、少し離れていても耳に入ってきやすい。
聞こえてくる方に近づいていくと、総菜が並ぶ棚の上に、顔が描かれた小型の機器があった。
この機器が、あの音を流している「呼び込み君」。
2000年から販売されている。耳に残る独特のメロディーを気に入っている人はたくさんいるようで、動画投稿サイトにも音源が多数アップされている。
なぜ呼び込み君はたくさんの店舗に広まり、発売から20年近くたっても流され続けるのだろうか。
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 人間は聞き慣れたメロディに 引きつけられちゃうのかも
  一種のステルスマーケかな?  (^_^;)

 
これまでに約4万台を販売
呼び込み君を製造販売しているのは、群馬県みどり市の企業、群馬電機だ。
呼び込み君はBGMが印象的だが、機能はそれだけではない。
アナウンス録音再生機能や人感知センサーが付いていて、人が近づいたときに、録音したアナウンスを流すことができる。
また、BGMは「ポポーポポポポ」以外にもう1曲入っている。
本体の高さは約20センチ。記者がスーパーで見かけた、機器の上部に顔が描かれているものの他に、LEDを使用したパネルを取り付けるタイプもある。
パネルは別売りで60種類もあり、「いらっしゃいませ」「今、売れてます」「店長おすすめ」などの文字がそれぞれ書かれている。
呼び込み君は、これまでに累計約4万台を販売。現在もスーパーを中心に、月300~400台を出荷しているという。
LED製品の技術を応用
呼び込み君はなぜ生まれたのか。群馬電機が持つ、LEDの電光掲示板製造の技術を応用した自社製品をつくろうとしたことがきっかけだったという。
同社商品開発本部の藤巻剛さんは「目に訴えるLEDに加え、耳にも訴求して宣伝できるものはないか。音に着目したら面白いのではないか、という意見が社内で出たことがきっかけです」と話す。
群馬県でCMソングなどを手掛けていた作曲家に依頼し、完成したのがあの曲だ。
「スーパーに来るお客さまに、明るく楽しい雰囲気で買い物をしてもらう」という狙いで作曲してもらったという。
発売後、全国のスーパーに広まっていったが、そのきっかけは何だったのか。
藤巻さんは「あくまで想像ですが」と前置きをした上で、こう説明する。
「発売当初、生協さんに採用していただき、全国にあるコープのお店に設置されました。そこで流れていた曲を小売業の関係者があちこちで耳にして、広まっていったのではないでしょうか」
競合製品を販売する企業は「3社ほどある」というが、呼び込み君の強みは「音質の高さ」だ。
製品の外観や収録している曲は発売当初から変えていないが、録音再生時の音質は改良を重ねてきた。
内部の部品は、新しい技術を活用したものに入れ替えている。現在の製品は「CD並みの良い音で再生できる」という。
発売から18年たっても廃れずに呼び込み君が使われ続けている。
その理由について藤巻さんは「やはり、音楽の力ではないでしょうか」と話す。
「『気になる』『耳に残る』という声が多く、今でもたくさんお問い合わせをいただきます」。
また、スーパーなどの売り場で流れる曲として定着していることから、「お客さんを呼んでくれる効果がある」という声もあるという。
呼び込み君は群馬電機のWebサイトで、1台から購入できる。
価格はLED付きで2万9800円、LEDなしで2万1800円(いずれも税別)。
個人で購入するケースもあるという。「お子さまへのプレゼントとして購入される方もよくいらっしゃいますね。お子さまが店で曲を聞いて、気に入ってしまうそうです」
スーパーで「ポポーポポポポ」と聞こえてきたら、その音を発している「呼び込み君」を探してみてはどうだろうか。
小さな機器の中に、長く使われ続ける技術とメロディーが詰まっている。

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