山手線の品川新駅(仮称)、2027年度開業予定のリニア中央新幹線の工事が着々と進む品川駅周辺で新たな計画が姿を現し始めた。
品川駅西口の道路上を利用した新たな駅前広場である。
計画地は赤い線で囲まれた道路上。東西の開発の間を繋ぐ位置にあることが分かる
国土交通省関東整備局は2017年に品川駅西口駅前広場について道路上空を活用した未来型の駅前空間を整備する方針をまとめ、品川駅周辺の大地主でもある京急電鉄、西武プロパティーズ、JR東日本の民間事業協力者3社と検討を進めていた。
品川駅西口から道路を越えて賑わいをつなげようという計画だ
このほど、中間とりまとめが発表され、目指す方向が明らかにされたが、それによると品川駅西口を走る国道15号の上空を立体的に活用し、便利で賑わいのある駅前空間を実現する。
賑わい広場には3~4層の商業施設を配置する想定で、道路上がここまで利用される例は珍しい。
計画では道路上に広場、商業施設その他が作られることに
さらに羽田からも近いという立地を生かし、災害時の防災拠点ともなるものとし、海外からの災害支援の受け入れ窓口という側面も持つ空間になるという。
品川駅では現在、京浜急行とJR線の間に高低差があることから全体としての動線が複雑になっており、これを解消しようと京急駅の改造計画がある。今回の西口駅前広場計画はそれを踏まえた上で、駅の東西の回遊性を高めるものとしている。
品川駅内東西の回遊性だけではなく、品川新駅(仮称)へのアクセスも考慮された計画からは品川駅のみならず、品川周辺を大きく変えようという意図が分かるが、この計画にはもうひとつ、現在バラバラに動いている品川周辺の事業者を連携させようという意図もあるように思われる。
冒頭で民間事業協力者として3社を挙げたが、これらの企業は品川駅周辺に広大な土地を所有している。JR東日本は品川新駅(仮称)に一部を利用する車両基地跡地、西武プロパティーズは複数のホテル、京急は国道15号沿いを中心にいくつものビル等で、それぞれは隣り合う場所にある。
まち全体の未来を考えれば、連携して開発したほうが良いと思われるが、個別に開発しても成り立つであろう広さがあり、現時点では連携の気配は見られていない。
東京都は2014年に「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン2014」を発表しているものの、該当エリアに都有地はなく、イニシアチブは取りにくい。品川駅周辺はちょうど港区と品川区の境に位置しており、こちらも互いに遠慮がありそうだ。
だが、今回の計画で3社は共に民間事業協力者として計画に当たることになる。それによって連携の動きが醸成できれば、単にビルを建てるだけの開発ではなく、まちとして大きなビジョンを共有できる開発ができるのではないだろうか。
品川エリアは交通の結節点という特徴に加え、旧東海道、泉岳寺やその背後にある高輪などに歴史的な財産もあり、うまく開発できればビジネスオンリーではない、浅草と大手町を合体させたようなこれまでにないまちが作れるはず。
さらにその外周には開発の余地があるエリアもある。