午後5時まで窓口業務をやっている銀行もあるけれど、多くの銀行は午後3時で終わる。
窓口を閉めたら銀行の仕事も終わって「銀行員は早く帰れていいなぁ」と誤解する人は少なくないようだ。
ところが実際には、窓口業務が終わってからが銀行員にとって本当の戦いの始まり。
「窓口を閉めてからの業務を“締め上げ”といいます」
とある支店で営業職だったBさんが、締め上げについて教えてくれた。
「その日、営業成績の悪かった営業マンを締めるわけじゃありませんよ(笑)。
1日の勘定を集計することを指す言葉で“日締め(ひしめ)”ともいいます。
出たお金と入ったお金を集計して、1円でも合わなかったら合うまでやり直します」
また一昔前の銀行では、窓口を閉めた後
「だいてください」
という意味深なワードが飛び交っていた。
女子行員が「先輩、だいてください」といえば、言われたほうの男子社員も「はいよ」と返事する。
あっちでもこっちでも「だいて!」「早く、だいて」なんて、事情を知らない人が聞いたらドキッとするような言葉が飛び交う。
「だいて」とは、代金取立手形のこと。
窓口業務が終わったシャッターの向こうでは、手形の処理も行われていたのだ。
やがて手形自体が使われなくなっていくにしたがって、最近は「だいてください」も聞かれなくなったという。