読書 一つの教訓・ユダヤの興亡
著者は「日本人とユダヤ人」の山本七平で、本名で書いている
ユダヤ教に関する学識の深さに圧倒されそうになる
著者の略歴を見ると、学徒動員で招集され、終戦時はフィリピンにいて、2年間を捕虜収容所で過ごしている
アカデミズムとは無縁で、出版社「山本書店」を経営するかたわら、ほとんど独学を続け、48歳で書いた「日本人とユダヤ人」などで注目されて評論家として活躍する
本書では、ユダヤ人とローマ帝国の戦いを太平洋戦争に重ね合わせ、強大な国家との付き合い方を論じている
その意味で、「日本人とユダヤ人」と同様に、ユダヤ人論と言うよりは、日本人論なのかもしれない
ローマ帝国もアメリカ帝国も、強大だが普段は寛大なお殿様なので、その臣下が弱小なうちは可愛がってくれるが、お殿様の地位を脅かすようになると、全力で叩き潰しに来る
大日本帝国は軍事力でアメリカお殿様に挑戦して、太平洋戦争で叩き潰され、経済力で挑戦して(経済大国ジャパン・アズ・ナンバーワン)、日米貿易対立からプラザ合意、その後のバブル崩壊で叩き潰された
2度の失敗から教訓を学んだのか、たまたま結果がそうなったのか、今の日本は自由経済圏2位という、かなり居心地の良い境遇に甘んじている
日本の次にアメリカ帝国に挑戦したソビエト帝国は、自己崩壊して消えた
今また似たような独裁体制の中華帝国が無謀にもアメリカに挑戦して、追い詰められようとしている
さらにEUを実質支配したドイツ第4帝国も、2度の失敗に懲りず、絡んで来ている
ローマ帝国が消えたように、いずれアメリカ帝国も滅亡するかもしれないが、それは数百年先かもしれない
この著者の本を、もっと読みたくなった
(^_^;)