映画「わが道」と高度成長前の貧困

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出稼ぎ者が東京で行き倒れ、身元不明人として勝手に医大の解剖実験材料にされた事件の裁判闘争記録『ある告発-出稼ぎ裁判の記録』(佐藤不器ほか、日刊東北社、1972年刊)の映画化

実際の事件は、昭和41年に青森県十和田湖近くの寒村から出稼ぎに出た64歳の川村由松が、東京品川の大井町駅で亡くなった

その身元を証明する所持品があったにも関わらず、大井町警察署と港区役所のズサンな扱いで身元不明人とされ、8か月後には慈恵医大の冷蔵庫に移され、解剖実習の材料にされていた

遺族である妻が激しく憤り、地元で地方新聞『日刊東北』を出していた佐藤不器(原作本の著者)の支援で、青森県と東京都を相手に訴訟を起こした過程を映画にした

昭和41年の事件だから、すでにテレビもクルマもあるのだが、高度成長前期の日本の貧困が、実に暗くリアルに描かれている

その絶望感を音羽信子が名演している

後半は一転して、法廷が舞台の裁判ドラマ

原作本の著者が新聞記者のせいか、新聞記者や弁護士が「人権を守る良い人」、警察や役所が「権力をカサに着て人権無視する悪い連中」というように、ことさらに単純対比しているような印象も受ける

安保闘争が激しかったころの時代精神を感じる

(^_^;)

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