←同イベント開催の発端となった、スウェーデンの発酵食品「シュールストレミング」
新宿のロフトプラスワン(新宿区歌舞伎町1、TEL 03-3205-6864)で1月29日、「世界のくさウマ実食会」が開催される。
開場は18時30分、開演は19時30分。
料金は、前売り=2,000円、当日=2,200円(共に「ハイサワー」新商品のお土産付き)。会場では「くさや」と「シュールストレミング」の物販も行われる。
「臭いけど、うまい」とされているものを一堂に集め、試食を行う同イベント。
司会を担当する奥野テツオさん(ロフト企画部)は「缶詰博士の黒川勇人さん とお会いしてイベント企画を詰めていく段階で、『世界一臭い食べ物』とも言われているスウェーデンのシュールストレミング(ニシンを塩漬けにし発酵させた 缶詰)が話題に挙がったことが発端になり企画した」と話す。
当日は、シュールストレミングのほか、エイの刺し身をつぼなどに入れて発酵させた韓国料理「ホンオフェ」、伊豆諸島の特産品「くさや」や、台湾や中国な どで食べられている発酵食品「臭豆腐」、フランスやスイスで食べられているという伝統的なチーズ「モンドールチーズ」の5品を用意。
シュールストレミングの正規輸入販売店「川口貿易」(江戸川区)の伊藤謙さん、くさやなどを販売する伊豆諸島・小笠原諸島のアンテナショップ「東京愛ら んど」の鈴木真理さん、水産加工の藤井栄作組合長、「東京カルチャーカルチャー」プロデューサーのテリー植田さん、「流しのチーズ屋」チーズ魂さんなど、 それぞれの専門家をゲストに招き、1品ずつ紹介・試食していく予定。
そのほか、くさやを漬け込む発酵液「しょっちる」の原液も登場する。「都内で原液を見られる機会は、まずないのではないか」と奥野さん。
なお、イベント入場時には、「『食材に関して苦情は一切受け付けません』と明記された念書へのサインをしていただく」という。
「全ての食材を試食できる が強制ではないので、食べなくても構わない。食べる方は帰りの電車もあると思うので、マスクを持参していただければ」とも。
奥野さんは「一人で食べるのが怖くても、みんなで食べれば怖くない。話のネタに、未知の食材を食べてみては」と来場を呼び掛ける。
会場がしばらく使えなくなる心配は ないのだろーか? (^_^;)
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脳天貫くウンコの香り→そして昇天
世界一臭い食材を大人が泣きながら食べてみた
新宿ロフトプラスワンで開催された「世界のくさウマ実食会」。“世界一の臭さ”と言われるシュールストレミングをはじめ、世界中の「くさウマ」食材を食べ尽くすイベントだ。
世界一臭い食べ物というのは、一体どれくらい臭いのか――。
新宿ロフトプラスワンで 1月29日、世界の臭い食べ物をみんなで食べるトークライブ「世界のくさウマ実食会」が開催された。入場時、「このイベントに関しての苦情は一切受け付け ません」という念書にサインしないと入れてもらえないという念の入れよう。当日出演食材の中にはもちろん“世界一臭い食べ物”として有名な「シュールスト レミング」の名前もあり、くさウマ好きたちの注目を集めた。
シュールストレミングのほかにも“世界で2番目に臭い”と言われる韓国の「ホンオフェ」、中国の「臭豆腐」などなど、くさウマ界の実力者たちが一 堂に会し、しかもすべて試食可能という夢のイベント。筆者も会社で翌日「臭っ!」と言われるのを覚悟で参加してきたので、会場で出された「くさウマ食材」 たちの味と臭いをリポートしよう。
まだまだ序の口? 「モンドールチーズ」
1品目は、冬場のこの時期にしか食べられないという「モンドールチーズ」。関西を中心に“流しのチーズ屋”として活動している、チーズ魂(@cheese_session)さんが、この日のために熟成させたという逸品を持ってきてくれた。
中がトロトロでやわらかく、スプーンですくって食べるのがモンドールチーズの特徴。濃厚なカマンベールチーズのような味で、食べると舌の上にぷー んと塩味と苦みが広がる。苦みがかなり強いので好き嫌いがハッキリ分かれそうだが、ニオイはそれほどキツくなく、おいしく完食することができた。
下水と動物園のハーモニー 「臭豆腐」
続いて出てきたのは中国の「臭豆腐(しゅうどうふ)」。Wikipedia先生によると「植物の汁と石灰等を混合し、納豆菌と酪酸菌によって発酵させた漬け汁に豆腐を一晩程度つけ込んだ物」だそう。表面はちょっと緑がかった灰色で、パッと見た感じは蟹味噌のペーストのように見える。
顔を近づけてみると、唐突にすさまじいウンコ臭が鼻から脳天を貫いた。身近な臭いに例えるなら、下水と動物園の臭いをミックスしたような感じ。あるいはウンコはウンコでもとびきり体調が悪い時のウンコである。こ、これは脳が全力で「食べるな」と言っている気がする!
とりあえず爪ようじの先にちょっとだけ付けて食べてみる。味噌のような濃厚なしょっぱさに続いて、フレッシュなウンコ臭が口の中いっぱいに広がった。ハイ無理! これは無理! あやうく吐きそうになり、慌ててお酒で流し込んだ。
結局、ほんのひとなめしただけでギブアップ。超神水を一口なめて悶絶したヤジロベーもきっとこんな気分だったのかもしれない。また相当しつこい臭さのようで、何度お酒で口をゆすいでもウンコ臭さがなかなか消えないのにも困った。
国内最“香”峰の実力は? 「くさや」
3番手はご存じ、日本の「くさや」。「しょっちる」と呼ばれる汁につけ込んだ魚の干物で、焼くときにものすごい臭いがするのが特徴。今回はなんと、国内では最“香”峰とされる「新島産のくさや」がふるまわれた。
実はくさや初体験だったのだが、一口食べた感想は「おいしい!」。焼くときは確かに強烈なウンコ臭(下水+洗ってない犬+魚の生臭さ)がするもの の、小皿に取り分けられてみるとそこまで気にはならない。普通の干物よりうまみが濃く、好きな人が多いのもうなずける味だった。
鼻をつくアンモニア臭 「ホンオフェ」
4番手は“世界で2番目に臭い”と言われる韓国の「ホンオフェ」が登場。発酵させたエイの刺身で、エイならではの強烈なアンモニア臭が特徴だ。
これまでのウンコ系臭さとは明らかにジャンルの違う臭さで、「臭豆腐は平気でもホンオフェはダメ」という人もいるとか。食べてみると、なるほど、噛めば噛むほど身の中のアンモニアがしみ出てきて、口の中がちょっとしびれる感覚もある。
ただ食べられないというほどではなく、これはなんとか完食。キムチや豚肉と一緒に食べるのがオススメの食べ方だそうで、そのとおり試してみたとこ ろ、確かにキムチの辛さと酸っぱさがうまくアンモニアの臭さを中和してくれた。ホンオフェ自体には薄い塩味がついていて、刺身というよりカルパッチョのよ うな感じだった。
世界一の貫禄 「シュールストレミング」
そして最後はもちろん、“世界一臭い食べ物”ことスウェーデンの「シュールストレミング」の登場だ。シュール=酸っぱい、ストレミング=ニシンの 意味で、ニシンをタルに詰めて8週間熟成させたのち、さらに缶に詰めて発酵させたもの。臭いの強さは納豆の20倍と言われ、汁が服やカーペットなどに付い たら捨てるしかない、というくらいデンジャラスなシロモノだ。
説明ののち、いよいよ客席にシュールストレミングが配られる。臭豆腐は顔を近づけなければ大丈夫だったが、シュールストレミングは隣のテーブルに 置いてあるだけで顔をしかめたくなる臭い。これが世界一……! ニオイはやはり王道のウンコ系で、加えてタクアンのような発酵臭も感じられた。
今回は現地の伝統的な食べ方にのっとり、小さく刻んだシュールストレミングを薄いパンの上に乗せ、さらにジャガイモ、タマネギ、トマト、バターな どと一緒にいただいた。ドキドキしながら口に含むと……あれ? タマネギ、トマトのおかげでかなり臭みが軽減され、意外にイケる。味は塩辛というかアン チョビのようで、パンにほどよい塩気がマッチ。そのままもりもりと食べ進み、すんなり完食してしまった。シュールストレミング、全然いけるじゃん!
「臭豆腐」だけは無理でした
個人的にランキングを付けるなら、臭豆腐>>>(越えられない壁)>>>ホンオフェ>シュールストレミング>くさや>モンドールチーズの順でキツ かった。臭いの強さで言えばシュールストレミングが圧倒的だったが、タクアン臭がけっこう強いため、こちらはまだ脳が「食べ物」だと判断してくれたのだと 思う。対する臭豆腐はまさにウンコそのもので、口に入れた瞬間、頭からつま先まで下水に浸かったような錯覚に陥った。他の食材は一応すべて完食したが、臭 豆腐だけは最初のひとなめだけでギブアップしてしまった。
あと、臭豆腐と並んで臭かったのが、くさやを作る時に漬ける「しょっちる」。特別にちょっとだけ味見させてもらったのだが、たった一滴手のひらに 垂らしただけなのに、その後石けんでいくら洗っても臭いが取れず、その手で触った手袋や服にまで臭いが移ってしまうなど大惨事に。1日経ってようやく臭い が薄れてきたが、このままずっとこの臭いが取れなかったらどうしようかと本気で焦った。
イベントは大盛況で、平日の開催にもかかわらず会場は満席。ぜひまた開催したいとのことだったので、今回参加できなかった人は第2回の開催をお楽しみに。