今年1月末、カナダのモントリオールにて1匹の猫が保護された。
どうやら長いこと野良猫として路上で生きてきたらしいこの猫は、度重なる猫との闘争や他の動物たちとの戦いで体は傷だらけ。
更にカナダの厳しい冬を過ごしてきたこともあり、生きているのが不思議なくらい、ひどい健康状態にあった。
傷だらけになりながらもなんとか生きていた猫は、発見されてからすぐにシャトン・オルフラン・モントリオールという保護施設に運び込まれた。
「バーニー」と名付けられたその猫は、緊急の手当てが必要な状態だった。そこで直ちに治療が開始された。
野良猫の寿命は3~4年 飼い猫の3分の1です
それだけ過酷な生存環境なんですね (T_T)
バーニーは片耳が凍傷でなくなっていた。
歯も数本なく、鼻づまりにより呼吸が困難な状態にあった。
お腹には虫がいて耳には耳ダニがいた。
体のあちこちには歴戦の傷跡が残っていた。
そんなボロボロの状態にありながらもバーニーは生き延びていたのだ。
そのがっしりとした体つき、数々の傷跡から、バーニーは拾われたあたりの縄張りのボス猫的な存在だったのではないかと推測されている。
バーニーは目の治療のために抗生物質が処方された。またFIV+(猫後天性免疫不全症候群)を発症していたため、獣医や市越のスタッフたちは注意深くバーニーの経過を観察している。
幸いなことに、現在は回復傾向にあるそうだ。
体中を治療されている間もバーニーは暴れたりはしなかった。それどころか、スタッフたちに甘える様子を見せていたという。
生きるための激しい戦いと極寒な環境により、いつの間にかしかめ面が常になっていたバーニーだったが、施設の人々の献身的な態度とやさしさに触れ、その心を開いていった。
バーニーはまるで自分の置かれた状態が理解できているかのようで、ボランティアの人々にも施設のスタッフにも抵抗することは一切なかった。人間たちにその身を任せたのだ。
本当は誰かに甘えたかった
現在のバーニーはすっかり甘えん坊になり、スタッフたちが手を伸ばすと、自ら額をこすりつけるようにまでなったという。
地域を守るため、ボス猫として戦いを続けてきたバーニー。
そこには我々の想像を絶する過酷な試練があったに違いない。
バーニーは長きにわたり自分の運命と戦い続けてきた。
そして今、自分らしさを取り戻した。本当はずっと誰かに甘えたかったのかもしれない
その証拠にバーニーの顔はもうちっとも不機嫌そうなんかではない。
自然なリラックスした表情になっている。
肩肘を張って路上でボス猫として生きてきたバーニーは今、安全な場所で、やさしい人たちに見守られながら、明日のご飯を心配することのない暮らしを手に入れた。
その結末は、バーニーが自らの手で勝ち取ったものなのかもしれない。
バーニー、おつかれさま!