天智天皇と天武天皇と言えば、額田王(ぬかたのおおきみ)の和歌をめぐる三角関係が有名です
あかねさす 紫野ゆき 標野ゆき
野守は見ずや 君が袖ふる
しかし実態は、こんな優雅な世界ではなかった
著者によると、実は二人の天皇は兄弟ではなく、その後の壬申の乱は、九州系と出雲系の権力闘争ということになる
背後で糸を引くのは、鎌足と不比等という、天才的策略家の藤原親子
乙巳の変(大化の改新)の後の天智天皇の異常な低人気、壬申の乱で天武天皇側に続々と援軍が集まったこと、天皇家が出雲大社を異常に尊重すること、などの理由がスッキリ説明できている
壬申の乱で天武系(出雲系)に移った皇位だが、天武の死後、天武の后であったのちの持統天皇によって、再び天智系(九州系)に戻ってしまう理由も、うまく説明している
天皇家の正統性に関わる重いテーマなのだが、推理小説を読むように楽しめる
(^_^;)