月曜日, 23 of 5月 of 2022

あるスナイパー(狙撃者)の人生

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私は現実に起きた事件や事故を扱ったドキュメンタリー動画を見るのがダイスキなのですが、上の動画はとても良く出来ていたのでご紹介します

この動画は1995年に発生した警察庁長官狙撃事件を扱っていて、真犯人を確定したと信じている警視庁刑事部の立場から描かれています

現実には警視庁公安部の立場が優先され、警視庁の公式見解では「オウム真理教の組織的犯行」としながらも、真犯人(狙撃を実行した個人)を特定できず、時効となりました

大まかに言えば、警察など日本の官僚機構は、世界的に見ても非常に優秀な部類に属している、と私は思っています

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しかし大きな欠点(弱点)も内包していて、それは

身内意識(帰属意識、組織愛)が強すぎる

こと、具体的に言えば何かあったときに、身内(上司、先輩、同期、部下、後輩)をかばい過ぎることではないかと思っています

ここで言う「身内」は、状況によって変化(拡大・縮小)します

例えば警察で言えば、警察外に対しては警察組織全体が「警察一家」となって身内を守りますが、警察内部で対立が生じた場合には、より小さい組織単位が「身内」(組織愛の対象)となり、いわゆるセクショナリズムが丸出しになります

上の動画の事件では公安部と刑事部が対立していますし、警視庁(東京都管轄)と神奈川県警の仲の悪さは昔から有名です

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戦前の大日本帝国の陸軍と海軍の対立は有名で、陸軍には

 「全力で海軍と戦い

  残る余力で敵と戦え!」

という、ややジョークっぽい言葉まであったそうです

この強烈な身内意識(帰属意識、組織愛)は、一つの正しい決定に従って組織が一丸となって努力する時には偉大な長所にもなるのですが、組織の長といえども人間ですから、時には間違った決定が下される場合もあります

その時は、その決定を下した組織の長(上司、先輩)のメンツを考えて(忖度して)、その決定を間違ったものとして否定したり軌道修正したりするのが難しくなる、という大きな欠点(弱点)にもなります

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おそらく、当時の公安部の幹部が

「犯人はオウム関係者だ!」

と断定して捜査を進め、途中からこの断定は間違っているのではないかと皆が薄々気づいても、断定した幹部のメンツを考えて、公安部全体が組織的にこの幹部を「かばった」可能性があります

多くのえん罪事件の背景には、警察の強すぎる身内意識や、幹部のメンツへの過度の忖度があるのかもしれません

それから、この動画の面白いところがもう一点、それは真犯人と思われる男、中村泰のキャラクターです

東大教養学部に在学中に、教授から「将来はノーベル賞を狙える頭脳」と言われたほどの優秀な頭脳を持ちながら

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「スナイパー(狙撃者)になって

 国家の運命を変えて見せる!」

と固く信じ、東大を中退して、スナイパーの道をトコトン突き進みます

これだけ自分の信じる道を迷うことなく歩めれば、コトの善悪を別にすれば、さぞかし充実した人生ではないのかなと、少しうらやましいような気分になります

ちなみに中村泰は現在92歳で、岐阜刑務所に無期懲役で服役中です

いやー人間って、本当に面白い生き物ですねー

 (^_^;)

 

【追加】上の文章で「欠点(弱点)」として指摘した内容は、官僚組織や警察だけに特有のものではないと思っています

日本人が組織を作れば、必ず生じる欠点(弱点)で、一種の国民性のようなものです

もちろん私の脳の中にも、この欠点(弱点)の要素が含まれているはずです

それが余りにも日本社会に広く深く浸透しているので、すでに当たり前の空気のような存在となっていて、多くの日本人はそれを余り意識せずに生きています

でも組織のトップに立つ人が、この欠点(弱点)を意識しないで意思決定していると、組織(時には国家)をトンデモない方向へ導いてしまう恐れがあります

中村泰は頭の良い男ですから、すべてを悟った上で、自分を真犯人としない警察に対して「オレが真犯人だ!」と叫んで抗議しているのでしょう

これは確かに「国家の運命を変える」貴重な行為かもしれません

 ((((;゚д゚))))