「新宿(にいじゅく)」と大書された歩道橋前
新宿――世界最大規模のステーションや都庁などを擁する東京最大級、そして日本最大級の巨大繁華街として、その名は国際的に知られている。
その「新宿」と同じ名を冠する町が、東京にもう1つあることをご存じだろうか。
それは――葛飾区新宿。ただし、その読みは「にいじゅく」だ。
東京都民でも、おそらくなかなか出かける機会のないもう1つの「新宿」。Jタウン探検隊はその街並みを歩いてみた。
もう1つの「新宿」はロードサイド
「新宿(にいじゅく)」に駅はない。
葛飾区の北部、「こち亀」の亀有、「寅さん」の柴又に挟まれて、「新宿」はある。
町の真ん中には国道6号線が走る。衣料量販店やドライブスルーのマクドナルドなどが並ぶ「新宿」には、無数の鉄道路線が交差する新宿とは対照的に、ザ・ロードサイドな風景が続いている。
あえて鉄道で行くなら、常磐線(各停)の金町駅あたりで下りて歩くことになる。
街中には…「新宿」の看板がいっぱい
およそ「東京らしくない」雰囲気の町にしかし、あちこちに「新宿」の看板が掲げられているので、どこか不思議な雰囲気を醸し出している。
たとえば「新宿一丁目」のバス停。新宿御苑前駅そばにある停留所と、字面の上では同じだ。
こちらは、「新宿四丁目児童遊園」。塗装のはがれかかった遊具や看板が、何とも言えず哀愁を漂わせている。
「新宿」の名を冠した教育施設も、よりどりみどり。「新宿中学校」に「新宿小学校」、「新宿保育園」。ちなみに新宿中学校の方は、新宿区にもある。
セブン‐イレブンの店舗名は「葛飾新宿4丁目店」だ。単に「新宿4丁目店」だと、読みが違っても管理上やはり難しいのだろうか。
「新宿二丁目アパート」といっても、そういう意味ではない
基本的にはロードサイドの住宅街なので、平日の昼間は人通りもそう多くない。やや手持無沙汰気味に町を徘徊していた筆者の目に、ちょっと気になる物件が飛び込んできた。
その名前は……「新宿二丁目アパート」。
一見、というか中身の方もごく普通の公営住宅なのだけど。はしゃいで写真を撮りまくる筆者が、通りすがったおじいさんに怪訝な顔で見られたのは言うまでもない。
思わぬ発見にはしゃぐ筆者。……なのだが、こうして写真を見返すと何やってんだこいつ感がすごい。
うーん、何やっているんだろう。僕は。
結構あちこちにある「新宿」
「新 宿」というのは、元々は江戸時代の宿場に由来する地名だ。要するに、後からできた新興宿場を便宜上「新宿」と呼んだというだけの話なので、都心 の新宿、この葛飾の「新宿」のほかにも、街道沿いを中心にいくつもの「新宿」が存在する(ただ葛飾の「新宿」には、「新しい宿場」という意味ではなく、 「新居郷の宿場」で「新宿」という説も)。
さて、「新宿」の主要施設としては上記のほか、亀有警察署、新宿交通公園、葛飾にいじゅくみらい公園などがある。最近では、東京理科大学の葛飾キャンパスも誕生した。
漢字圏の外国人旅行者だと、もしかしたら間違うかもしれない新宿と「新宿」。もし困っている人を見かけたら、親切に案内してあげよう。