平成14年に現在地に建立された御誕生寺が、一体なぜ「猫寺」となったのか?
猪苗代昭順(しょうじゅん)副住職(41)によると、寺の建立工事中に、段ボール箱に入れられた4匹の子猫が境内に捨てられていたのが始まりだという。
その後も捨て猫が後を絶たず、面倒をみているうちに猫はどんどん増えていき、エサ代や治療費がかさむようになってきた。
そこで寺では副住職のアイデアで、SNSなどを駆使して、全国の猫ファンに向けたメッセージの発信をスタートさせた。
これが大きな効果を発揮し、国内各地はもちろん、海外からも猫に会いたいという参拝者が急増。
フェイスブックのフォロワーは6000人を超え「こんな田舎の、何もない寺に…有り難い事です」副住職の口からは感謝の言葉があふれる。
猫と人の〝縁結び〟
随時開催される「譲渡会」も好評で、寺で面倒を見ている猫の譲渡はもちろん、里親募集の橋渡しにも一役買っている。
保健所で殺処分される直前の猫を引き取り、譲渡会で新しい飼い主の元へ送り出したことも。
これまで250匹を超える猫が、御誕生寺から「卒業」していった。
「御誕生寺の猫が、ある意味“ブランド”として認められてきたのでは」と話す副住職。
多いときには60匹以上の猫であふれかえっていたというが、取材当日は27匹と落ち着いた頭数で、その全てに名前の書かれた首輪が付けられていることからも、猫を大切にあつかっている様子が伝わってくる。
日々の修行に加え、猫の世話まで…大変なのでは? 若い修行僧に尋ねてみた。
返答は「これが日常です。日々の修行の一部です」ときっぱり。
思わず、自身の俗物ぶりを反省してしまう。
副住職によると、近年若いカップルの参拝が増えてきたという。
目的は猫かと思いきや、それだけではなく、御誕生寺が「人と猫とを結ぶ場所」という事から「縁結び」の願いを込めての参拝なのだそう。
取材の最後に、寺の僧侶たちに集まってもらい、境内で写真を撮らせていただいた。
89歳になる板橋興宗住職は笑顔を浮かべ、若い僧侶の頭に両手のこぶしを乗せておどけて見せた。
ユーモアあふれる優しい笑顔は、猫たちを見守る御誕生寺にふさわしい笑顔だった。
お寺は庭も広いし 猫にとっては 最高の環境 (^_^;)