▲スティーブ・ジョブズ アップル創業者
何年か前、筆者は毎日あえて同じ服を着るという実験をしてみた。
筆者=Joshua Becker 、Forbes Contributer→
一週間にわたり、同じダークグレーのTシャツとカーキのパンツで過ごした。
周囲の人たちがそれについて何を言い、自分自身がどのような考えを持つか、試してみたいと思ったのだ。
あくまでも 男のファッション哲学ですよ
自発的にその実験を開始したにもかかわらず、感じたのは別の服を着るべきだというプレッシャーだった。
われわれの大半は、毎朝何を着るべきか考え、決めるように訓練されている。筆者も例外ではない。
だが、その1週間が経過しても、誰かが服について何か言うことはなかった。
ほとんどの人は、それぞれ自分のことで手いっぱいだ。
社会心理学者が呼ぶところの「スポットライト効果」を示すいい例だ。
そして、この「沈黙」が筆者にもたらしたのは、「解放」だった。
ワードローブを最小限にしたい人、人生の「ユニフォーム」を見つけたい人、そしてただ消費を控えたいと思っている人に、この実験を試してみてほしい。
お勧めしたい理由は、以下に挙げるとおりだ。
1. 「決断疲れ」を減らせる
決断することから逃れられる人はいない。どの選択肢も、われわれを疲れさせる。
そして、より大きな結果を伴う決断はより大きなエネルギーを消費させる。
小さなことに思えるかもしれないが、いつも着る服を決めておくことで、一日分の意思決定のためのエネルギーを温存しておける可能性が高まる。
2. 似合うものが分かる
同じ服には飽きてしまうだろうか?
その服装は、本当に自分に似合っているのか?
──実験中の1週間で、筆者は自分自身を試した。
そして、どのような服が自分にとって最も重要なのかを認識することができた。
自分自身の「スタイル」を見つけるまでには、時間がかかるかもしれない。
だが、何を着ていれば自信を持てるのか、快適でいられるのかを理解することは、自分に力を与えてくれる。
3. ワードローブを最小限に抑えられる
ミニマリズムとは、最も重要なことに焦点を絞り、それ以外を排除することだ。
何にでも取り入れられる考え方だが、服については特にそうだといえる。
筆者は実験後、積極的にこの考え方を実践し、服を買い替えないよう努めてきた。
すると少しずつ、自分にとって本当に大切なものになる服だけを選ぶようになっていった。
服を選ぶときに、どれを着たいのか悩むこともなくなった。
4. 永遠のファッションを楽しめる
何より大切な友情について、重視するのは常に量より質だろう。
この考え方を服選びにも取り入れることで、自分にとってどれが最も重要な服かを判断することができる。
新しい服を買うときも、将来の自分のクローゼットの中でのその服の位置付けについて、考えみるべきだ。
何年か後にも、その服は必要とされているだろうか?
流行の最先端を追いかけることは難しい。また、果てしなく出費を続けることにもなる。
流行ではなく、品質の高さで選ぶことを重視すべきだ。
買い替える前に修理やリサイクルを勧めてくれるブランドを選ぶこともできる。
5. 時間の余裕ができる
同じ服を着ていた1週間、洗濯ものは大幅に減った。
この点でもやはり、最も重要なことに集中することができた──家族と過ごす時間だ。
また、遊んだり、本を読んだり、音楽を聞いて過ごすことに多くの時間を充てることができた。
著名人の中にも、同じ服を着ることに決めている人たちの例がある。
成功した人たちがそう決めるには、それ相応の理由がある。
最も象徴的な例は、スティーブ・ジョブズかもしれない。
いつでも黒いタートルネックにジーンズ、丸い眼鏡という姿だった。
ジョブズが成功したのはいつでも同じ服装をしていたからではない。
だが、並外れて忙しい人にとって同じ服を着ることは、「決断」を一つ減らすことなのだ。
同じ服を毎日着ることで、あなたも自分にとって何が最も重要なのか理解することができるだろう。
それが自分の着ている服ではないことは、すぐに気が付くはずだ。