先日、東京の弥生美術館で「セーラー服と女学生」という素敵な展示(3月29日~6月24日)が開催されていました。
女子校選びで重要な要素の一つが制服
女子校フェスに伺った時も、生徒さん方が母校の制服の魅力をアピールしていました。
豊島岡女子学園は、セーラー服の胸当てがないのでネクタイが目立つ、というポイントを。
山脇学園の清楚な制服は歴史が古く、ハートの校章と共に自慢だそうです。制服の話題は引きが強いです。
ところで女子校の制服というと、セーラー服のイメージが強かったのは今は昔。
最近はブレザーの人気が高まっています。
女子高生の制服のセーラー服の割合は私立校で15.3%で、30年間でほぼ半減しているそうなのが寂しいです(大手制服メーカーによる2017年の調査による。展示関連書籍『セーラー服と女学生』河出書房新社より)。
私の母校は私服OKでしたが、一応、式典の時に着るセーラー服もありました。
わりとオーソドックスなデザインで、冬服は紺一色で重めの印象でした。
90年代は、ブレザーの制服が人気の女子校が結構あって、頌栄女子学院のチェックのプリーツスカートとブレザーの制服がまぶしくて憧れたものです。
遠足で同じ列車で立教女学院の生徒さんと乗り合わせた時は、チェックのスカートを着こなしている女子がずいぶん大人っぽく見えました。
90年代には、品川女子学院もおしゃれな制服と広末効果で人気爆発していました(志願者は60倍に)。
でも、それをまねしたからといって、うまくいくわけでもありません。
弥生美術館の展示は、セーラー服の魅力を再認識させるものでした。
平日に行ったら結構お客さんが入っていて、入り口のところにはシニア男性の集団が。
セーラー服の女学生というテーマに足を運ばずにはいられなかったのでしょう。
少年のような眼差しで楽しそうでした。
会場でまず目を引いたのは、セーラー服女学生叙情画セレクション。
少女雑誌の挿絵画家が描いたセーラー服の女学生は、当時の憧れだったのでしょう。
木陰で読書したり、ピアノに合わせて歌ったり、奥ゆかしくてピュアな姿が描かれていました。
女学生のお姉さまと後輩がたたずむ、当時のS(友情以上の思慕)を匂わせる絵にも萌えます。
中原淳一、松本かづち、高畠華宵、などそうそうたる方々の作品が。
現代の人気イラストレーター中村佑介氏によるセーラー服の女子のイラストや、美少女戦士セーラームーンの絵なども展示されていました。
そしてベストセラー、森伸之氏の「制服図鑑」も。
日本人のDNAに刻印されたセーラー服への思いが高まります。
セーラー服が日本の女学校に取り入れられた経緯
19世紀中頃のイギリス海軍の水兵服に端を発するスタイル。
イギリスでは、1846年に王室の5歳のエドワード王子が着用したセーラー服の肖像画がかわいすぎて大ブレイクしました(ジョージ王子にも水兵服を着せて人気再燃させてほしいです……)。
←「セーラー服と女学生」展の、平安女学院(左)と福岡女学院(右)の美少女JK等身大パネル。
1920年前後の写真なので、この方々は生まれ変わって今頃また女子高生かもしれません。
日本の女学生の制服はもとは着物だったのが、鹿鳴館風ドレス、下田歌子考案の女袴、と紆余曲折を経て、1919年に山脇学園の洋装のワンピース型制服が鮮烈に登場。
そこから洋装化が進み、1930年代にはセーラー服人気が上昇。
会場には、セーラー服を早くに取り入れた平安女学院と福岡女学院の女学生の写真が展示され、等身大パネルになっていましたが、かなりの美少女です。
金城女学校の約100年前のセーラー服の女学生の集合写真も。
大正時代の女学生、意外と顔が濃いめです。
しかし誰一人、笑顔ではなく暗い表情をしているのは、写真に写ると魂が抜かれるという説が信じられていたからでしょうか。
制服は襟の角度が鋭角でおしゃれでした。
現代の人気のセーラー服の実物も展示されていました。
1924年に制定された雙葉の制服は錨のマークがポイント。
知らなかったのが、リボンで隠れている部分の、胸元を紐で編み上げているデザイン。
さりげない高級感があります。
「お嬢さん、インナーベストですね」
東京女学館のセーラー服は男子校界隈でも圧倒的な人気です。
リボンを蝶結びにしているのもガーリーです。
冬服でも白いトップスは、英国人教師の「英国では高貴な人は白を着る」という教えに基づいています。
セーラー服人気が下がっていっても、女学館の制服がある限り絶滅することはなさそうです。
白百合学園のセーラー服は、胸元と襟に百合の刺繍があしらわれています。
3本線が入ったネクタイが目立ちます。
雙葉と同じくインナーベストでスカートを吊っているそうです。
インナーベストという単語がマニアック。
制服姿の女子学生に「インナーベストですよね……」とささやきかけたら……多分、通報されます。
白百合は校内ではタブリエというスモックを着用。
制服を大事に扱っているのが、さすがお嬢様学校です。
東洋英和女学院は、ゴールドの2本線とガーネット色のスカーフが高級感あります。
何重にもひだを折り込んでドレープを出す「英和結び」という特別な結び方があるそうです。
図解も展示されてましたが、素人には難易度高いです。
豊島岡女子学園の制服の結び方も特徴的。
校章にも入っている鳩をかたどっています。
ネクタイを二つ折りにして長く出したタイを短いタイに2,3回巻いて、折り返して……と手順が多いですが、こうやって毎朝、折り紙に近い作業で脳を鍛えているのかもしれません。
進学校の実績を高めるのは、複雑な着方の制服なのでしょうか。
どのセーラー服もリボンをきれいに結ぼうとすれば結構、時間がかかります。
日々、丁寧に結んだり巻いたりすることで、それが生き方にも良い影響を及ぼしそうです。
リボンやネクタイは絆のモチーフであり、魔よけにもなります。
セーラー服なら親御さんも安心です。
(辛酸なめ子)
安達祐実さんのような 特別な人でないと
セーラー服を着られる期間は短いので
着られるときに着ておいた方がいいかもね (^_^;)
←来年中学生になるお子さんがいるそうです