あおった相手が悪かったか――。
「あおり運転」に腹を立て、乗用車に乗っていた男性2人を殴ってケガをさせたとして、兵庫県姫路市の会社員、北川俊輔容疑者(31)が3日、傷害の疑いで兵庫県警に逮捕された。
北川俊輔容疑者は2日午後11時35分ごろ、友人と3人で姫路市広畑区の国道250号を大型と中型バイクでツーリングしていた。
道路は片側一車線で友人2人は車線の左側を縦に並んで走行していたが、北川俊輔容疑者はセンターラインに近づいたり、左に寄ったり、多少フラついていた。
男性会社員の運転手Aさん(24)は、同僚で助手席に座る男性Bさん(23)とボウリングを終え、車で国道へ出た。
日曜日の深夜で道路はガラガラだったが、前を走る3台のバイクのスピードは制限速度の50キロほど。
バイク3台が連なるうえ、北川俊輔容疑者のバイクは右へ左へと安定感を欠いていたため、なかなか抜くことができない。
イライラしてきたAさんはパッシングをし、車間距離を詰め、北川俊輔容疑者のバイクをあおった。
ようやく1台抜き、バイクの間に入り、タイミングを見計らってもう2台抜き去り、赤信号だった次の交差点で止まった。
すると後ろからバイクを降りた北川俊輔容疑者が近づいてきて、運転席の窓をドンドンと叩き、
「何しとるんじゃ、コラ、降りてこんかい、このボケが」
とものすごいケンマクで怒鳴り出した。
Aさんは「車から出たら何をされるか分からない」と怖くなり、窓を開けて話を聞こうとしたが、無施錠のドアを開けられ、座ったままの状態でいきなり顔面に強烈なパンチを浴びせられた。
さらに北川俊輔容疑者は助手席側に回ろうとしたため、Bさんは「謝らなければ」と思い、自ら車を降りた。
しかしわびる間もなく、顔面と左肩に次々とパンチが飛んできた。
北川俊輔容疑者の怒りはそれでも収まらず、再び運転席側へ。
「はよ謝らな、ボッコボコにされる」と身の危険を感じたAさんは、車から出てその場で土下座。
次の瞬間、顔面を下から足で思いっ切り蹴り上げられた。
騒ぎを聞きつけた通行人が110番通報。
警察官が現場に駆け付けると、友人1人しかいなかったため、北川俊輔容疑者を呼び戻して事情を聴いた。
Aさんは顔面、頬を骨折し、前歯が2本折れ、左頬打撲の重傷を負った。
調べに対し、北川俊輔容疑者は「あおられたことに腹が立った。ついカッときて、殴り過ぎたことは反省している」と述べ、Aさんは「原因をつくったのは自分、あおったことは申し訳ない」と、互いに非を認めているという。
「北川俊輔容疑者は建設関係の仕事をしとって、ガッチリした体形でヤンチャな感じやから、スゴまれたらビビるんちゃうかな。3人は同世代でツーリング仲間っちゅうことや。バイクに乗っとる時に4輪にあおられたら、そら怖いで。ちょっとでも接触したらコケるんやから。あおったり、余計なことはせんようにすることや」(捜査事情通)
昨年6月、あおり運転を受けた夫婦2人が東名高速の路上で停車させられ、後続のトラックにはねられ、死亡するという事件が起こった。
それ以来、あおり運転は社会的な問題になっているが、いまだ全国各地でトラブルが絶えない。