東京でアニメファンが集まる街としては、秋葉原や中野が知られているが、ここにきて新宿が「アニメの街」へと変化している。
もともと様々な人種、文化が集まる新宿はサブカルの発信地であり、コミックとらのあなやゲーマーズ等もあるため、アニメファンが訪れる街ではあった。
しかし11年にアニメイトがオープンしたほか、最近は新宿バルト9が劇場版アニメに注力し“聖地”と呼ばれるまでになるなど、さらにその傾向を強めているのだ。
■アニメ専門店が集まる新宿
こうしたなか、タワーレコード 新宿店が5月17日に店舗をリニューアルし、アニメコーナーを約1.7倍に拡張するかたちで「TOWERanime 新宿」をオープンした。
同店は同社がTOWER RECORDS、TOWERminiに次ぐ新たな店舗ブランドとして、昨年10月にオープンした茨城・LALAガーデンつくば店に続く2号店。
TOWER animeの旗艦店として「NO ANIME,NO LIFE.」の発信など様々な提案を実施していくという。
新宿店では、従来よりサブカル系のアイテムを多く取り扱ってきたなか、09年頃よりアニメジャンルの取り組みを本格化させた。現在では、タワーレコードのなかでも同ジャンルに強かった秋葉原店や渋谷店を抜き、売上シェア1位を獲得するまでとなっている。こうした状況を受け、12年のリニューアルでは、アニメの専門ブースをショップインショップ的な位置づけで設置。関連イベントも積極的に開催したことで、コアなアニメファンにも「タワレコ新宿といえばアニメ」という認知が広がってきている。
同店店長・花野 顕氏によると、「新宿はアニメの街として知られる秋葉原や中野のちょうど中間地点。作品には興味があるけど、秋葉原や中野は少しハードルが高いかも…という層をうまく呼び込むことができました」とする一方、専門店も増えていることから、「アニメに注力し始めてから約5年、おかげさまで新宿のアニメ専門店を巡回するなかのひとつとして、お店を訪れる方も増えています」と話す。
■人気声優らを起用しオリジナルキャラクターを展開
TOWERanimeのオープンにあたり、コミックの品揃えを増やし、さらにグッズの取り扱いもスタートした。その中で力を入れるのはやはり音楽だ。「CD、DVDのラインアップに関しては自信があります。また、試聴機を増設したことで、アニメ関連だけで60枚以上の視聴が可能となりました。グッズはCDを購入されたお客様がプラスαで楽しめる要素のひとつ。CD屋がやっている専門店ならではの強みを発揮していきたいですね」という。
今後、TOWERanimeを盛り上げていくためには、来店動機をいかにして作っていくかがポイントだ。そのためにイベント開催やパネル、サイン入りアイテムなどの展示、さらに竹達彩奈、神谷浩史ら人気声優を起用したオリジナルキャラクターの展開を実施しているが、こうした「コト発信」「モノ発信」だけでなく、「ヒト発信」も重要な要素だという。「タワーレコードの特徴である“手書きPOP”や棚の大展開でスタッフの熱量を感じてもらえたら嬉しいです」。
なお、今回のリニューアルではアニメジャンルに加えて、アイドルコーナーも売場を約1.2倍に拡張した。現在の音楽シーンをけん引する2大専門ジャンルを強化し、発信していくことで、さらなる市場の活性化やファン層の拡大を狙っていくという。
専門店が多数集結することで、アニメファンが集まる街となった新宿。秋葉原、中野に続くアニメファンの“聖地”となるか、引き続き注目していきたい。