読書

読書 エリス「論理療法」

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論理療法とは、1955年に著者エリスによって始められた、不安や悩みを解決する心理療法の一種

間違った(ナンセンスな)信念や思い込み(その多くは「~ねばならない」という表現をとる)を正すことで、感情や行動の改善を目指す

思考(理性)に重点を置いた、非常に理知的な心理療法であり、自己分析力のあるインテリ向き

フロイト流の精神分析を重症者向きとすれば、比較的軽症者向きと言えるかもしれない

古代ギリシアのストア哲学(エピクテトスなど)を現代風にアレンジした感じ

「療法」と名付けられているが、精神疾患の有無に関係なく、理性的な生き方の教科書としても十分に役に立つと思う

大判328ページ、普通の本の600ページ分くらいあるが、非常に読みやすい

(^_^;)

 

読書 孤独の研究

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25年前にも読んだ本の再読

多くの天才たちの人生を「孤独」という視点から解説している

ある種の才能や感覚が突出すると、共同での生活や作業が苦痛になる

ソローは「天国の寄宿舎より、地獄で一人で暮らしたい」と言った

巨万の富を孤独の確保につかったピュリツァーやヒューズには、滑稽な悲劇性がただよう

著者が孤独の音楽の最高峰とするのは、グレン・グールドのゴールドベルク変奏曲、冒頭のアリア

(^_^;)

 

 

読書 死ぬための教養

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若いころ雑誌「太陽」の編集長をしていた著者は、多くの作家たちと、個人的にも深い交流をした

著者が還暦を迎えたころから、その作家たちの訃報に接することが多くなり、その作品を読みながら、死について考える

モンテーニュは「哲学の目的は、死に対して心の準備をすること」と言ったが、かつてその役割を宗教が担っていた

そしていま、それは教養だと著者は言う

かつてテレビでもよく見かけたし、ひょうきんな人柄というイメージだが、実際はかなり神経質で重い胃潰瘍を患い、何度も大量の血を吐いている

さらに交通事故で瀕死の重傷を負い、死線をさまよう

そんな著者だが、78歳の現在もご健在

(^_^;)

 

読書 町沢静夫「天才の法則」

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精神科医が過去の天才(政治家、文学者、思想家など)を精神分析する

ニーチェ、リルケ、フロイトという3人の天才に深くかかわった女性ザロメに興味がわいた

ヒトラーやスターリンは明らかに精神病者だが、多くの理性的な人々が、このような精神病者に簡単にダマされてしまった歴史的事実が恐ろしい

習近平や金正恩の精神分析もして欲しい!

((((;゚д゚))))

読書 創造の心理

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大学時代に半年ほど、著者・穐山貞登先生の心理学研究室に毎週1回通った時期がありました

教養課程の授業で、学生はわずか4人、毎回テーマを決めて90分くらいディスカッション

穐山先生と研究室の助手さんが議論に耳を傾け、ときどき短いコメントを挟む程度

なつかしい思い出ですが、すでに19年前に穐山先生はご他界、ツン読だった本書も絶版になっていました

本書は、主に天才の創造活動に関する心理学などの諸研究を網羅(1962年現在)してあります

延々と学説を、広く浅く羅列してある感じで、少々退屈

今回も飛ばし読みになってしまいました

(^_^;)

 

読書 創造の心理と秘密

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本書には「秘密」と言うほど大したことは書いてないですが、天才のエピソードがいろいろ出てきます

子どもが成長して社会に適応してゆくプロセスを、日本では「大人になる」と言います

これは「おとなしくなる」が語源との説もあります

つまり自己主張が弱くなって、よく言えば「丸くなる」、悪く言えば「詰まらない人間になる」

大人になるのは、創造性を失うプロセス、という側面があるようです

たしかに天才と呼ばれる人には、どこか子供っぽいところを濃厚に残している人が多い

ただし、子供っぽい人が天才とは限りません

(^_^;)

 

読書 ザ・エージェント

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日本でほぼ最初に(2001年)出版エージェントを始めた男の本

野茂選手で有名になったスポーツ選手エージェントの、本の作者バージョン

出版というのは、ほとんどバクチのようなビジネスで、いかに著者が心血を注いで書いた本でも、売れなければ返品の山

逆に一発大ベストセラーを当てると、ビルの一室ワンルームの弱小出版社が、いきなり自社ビルを建てたりする

この本が書かれた時点(2005年)で、欧米では出版にエージェントが関わるのは常識だが、日本ではウサン臭そうに「何をする仕事ですか?」と尋ねられる状態だった

その後の出版界は、業界の存続が危ぶまれるような長期出版不況が続いているが、今どうなっているのかは、これから調べてみようと思っている

(^_^;)

読書 人間、この未知なるもの

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著者は1873年生まれ、フランスの医学者

1912年、血管縫合および血管と臓器の移植に関する研究でノーベル生理学・医学賞を受賞

前半は生理学をベースに、人間という存在を「総合的に」記述している

総合的にという意味は、人間という複雑きわまりない存在を、各分野の専門家が部分的に詳細に分析し、「群盲が象をなでる」状態になっていることへのアンチテーゼとして、人間存在の全体的なスケッチを描こうとするもの

前半の淡々とした科学的記述に対して、後半は、人間の未来の進歩のために、実に大胆な提言を行っている

人間は厳しい環境と闘ってこそ進歩するという考えに基づき、安全で便利で快適な人工的環境に囲まれて生活する現代人は愚劣化しつつあると主張する

動物の子どもは、生まれるとすぐに母乳の奪い合いなど、自然淘汰の闘いに投げ込まれる

弱者は死に、強い子どもだけが生き残る

人間だけが保育器などによって、この自然淘汰のメカニズムを阻害していると著者は主張する

環境適応できない弱者を文明の力で生き永らえさせるのは、人間の脆弱化、愚劣化につながるという主張は、現代の価値観から見ると、かなり過激に感じられるが、自然淘汰プロセスが生物の種の強靭さや活力を維持する上で欠かせないという厳然たる事実は、簡単には否定できない重みがある

いまからおよそ100年前の、時代精神の一端が感じられる

著者は1944年に71歳で亡くなっている

自然淘汰プロセスの一種とも言える中国コロナ騒動を考えるうえでも、貴重な視点を与えてくれる

(^_^;)

読書 細川侯五代逸話集

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細川幽斎の逸話を期待したのですが、分量的には二代目忠興以降が多く、幽斎の分はわずかでした

江戸時代初期、まだ戦国の血なまぐさい気風がうかがえる逸話も多く、ちょっとしたことで斬り合いになったり、首をはねたり、腹を切ったりしています

武士道の二要素(勇と忠)のうち、勇の比重が圧倒的に高く、「腰抜け」と見られることを極端に嫌った戦国武士の気風が、二代目忠興(とその妻ガラシャ)の逸話に濃厚に表れています

大名も3~4代つづくと、いわゆる「バカ殿」が出るのが普通ですが、細川家では5代つづけて「名君」が出て、藩の基礎を固めたようです

和歌の名人である幽斎は、風雅な歌のほかに、儒教的な「教訓歌」も多く残しました

これが細川家の次の殿様の教育に代々生かされたのではないかと思います

(^_^;)

 

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細川幽斎

 

読書 天才の心理学

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約百年前に書かれた天才論の古典です

彼の3気質説(いわゆるヤセ・デブ・筋肉)を駆使して天才を分析し尽くしています

著者自身が天才と言ってよいので、非常に洞察が深い

天才は社会適応能力を犠牲にして、限定された領域において、その才能を開花させる

その非常に極端な形が、サヴァン症候群でしょうか

特に天才の典型としてのゲーテ、その家系における精神病の惨状には戦慄を覚えます

(^_^;)